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各関節の構造と機能

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このページでは、以前私が参加していた整体の研究会で提出したレポートを掲載しています。

頚椎の構造と機能

 

第一頚椎(環椎)第二頚椎(軸椎)を上部頚椎といい、第3頚椎~第7頚椎を下部頚椎と呼ぶ。上部頚椎は下部の頚椎と著しく異なった形状をしている。環椎は椎体は無く全体に輪状で、軸椎は前上面から歯突起が突出し環椎の前弓内にはまり込み関節を形成している。歯突起の後方には環椎横靭帯があり頚椎の回旋運動の大部分をになう。軸椎と第3頚椎以下の連結は椎間関節により結ばれ、椎間円板が存在する、成人では椎体後外面にルシュカ関節(鈎状関節)と呼ばれる突起がある。ルシュカ関節は主に側方への動きを制御する。

頚椎は他の脊柱と異なり、頭蓋内への血流供給に関与していて横突孔を有しその中に椎骨動脈が存在している。運動稼働範囲も大きく、それに関与する筋の発達や協調性が重要である。頭部を支持する作用があり、障害が発生すると運動器、循環器、神経系に影響し様々な症状が発症し、頚反射の影響で歩行などに問題が発生することもある。

頚神経は第1頚神経~第8頚神経まであり、第1頚神経~第5頚神経の前枝は頚神経叢を形成し第5~第頚神経~第1胸神経は腕神経叢を形成する。頚椎の正常な湾曲は30~45°で第5頚椎がその湾曲の支点になる。頚椎の運動は屈曲・伸展・側屈・回旋の6方向で胸椎や腰椎と比べ動きが大きい。通常伸展運動は上位頚椎から起こり、順次下位頚椎へと移行する。上位頚椎の伸展運動は屈曲位から中間位までにほぼ終了し、下位頚椎の伸展運動は中間位からの伸展で生じる。回旋運動の約50%が環椎軸椎間で起こり、残りの50%が他の頚椎で生じる。側屈運動は環椎で軸椎間ではほとんど起こらず、他の頚椎でほぼ均等に起こる。上部頚椎機構は全体的に人体の健全性が必要で後頭-環軸関節と環椎-軸椎関節には骨性の関節支持機構が存在しないからである。屈曲-伸展時椎体の平行移動を生じるがこれは各分節により異なり上部ほど大きい。これは頚椎の関節勾配による。頚椎の自動回旋は側屈と同側への回旋つまり棘突起は凸側に回旋する。これは腰椎とは逆方向への回旋運動となる。

頚神経の多くは上肢に分布し、上肢神経症状を呈することが多く見られる。しかしその走行は複雑で抹消に至るまでに多くの障害ポイントがある。そのため上肢症状を呈する患者の場合、頚椎部の障害か上肢の障害かの鑑別が重要になる。

 

 

 

環椎の機能と構造

 

環椎は環椎後頭関節と環軸関節からなり、頭蓋骨から他の椎骨への移行部としての役割を持つ、解剖学的にも運動学的にも独特である。

環椎には椎体も棘突起もなく、前後に椎弓を有する。軸椎の歯突起は環椎の椎体が軸椎の椎体上面に癒合して形成されたものである。

環軸関節はC1-C2外側塊の関節面でできていて、両方の関節面は凸状であり、回旋時にかなりの可動性がある。環椎歯突起関節は、環椎の前弓と歯突起により形成される。歯突起は前方で環椎前弓、側方で外側塊、後方で横靭帯により完全に囲まれている、車軸関節であり軸回旋を生じる。

環椎後頭関節は自由に動く滑膜性の球関節である。後頭果の関節面は凸状で環椎の外側塊の凹面に適合している。上位頚椎領域の運動をもたらす筋は大後頭直筋・小後頭直筋・上頭斜筋・下頭斜筋で第一頚神経から運動線維が、第二頚神経の交通枝を通って固有受容器及び疼痛線維が通っている。

上位頚椎を安定させる靭帯は横靭帯・翼状靭帯・後縦靭帯・後環椎後頭膜・前環椎後頭膜・項靭帯・歯尖靭帯である。

環椎後頭関節で生じる主要な動きは、屈曲と伸展で全範囲は25°である。屈曲時には後方・上方へすべり伸展時には前方にすべる。C0-C1関節の軸回旋は以前には非常に制限されていると考えられていた。しかし最近では4~8°の可動性があると考えられている。側屈は5°で翼状靭帯の付着がこの動作を制限する。側屈は反対側への滑りを伴う。

環軸関節で生じる主な運動は軸回旋である。各方向へ40°であり、頚椎回旋全体の半分をしめる。頚椎回旋の最初の25°は主に環軸関節で生じる。回旋中に外側塊と関節面は、回旋側で後方にすべり、回旋の反対側で前方にすべる。歯突起の中心に軸が生じる。関節面が両方凸面であるため回旋とともに微小な垂直変位が生じる。屈曲と伸展の全範囲は20°、側屈は5°である。環軸関節の屈曲をよび伸展運動もわずがな平行運動を伴い、これは成人では2~3mm小児では最大4・5mmである。この範囲より大きい動きを認めた場合C1-C2の関節不安定性および横靭帯の完全性を検査すべきである。

 

 

 

胸椎の機能と構造

 

胸椎では、胸郭臓器の保護と機能が、分節間脊柱運動よりも優先される。解剖学的構造が制限されるため脊柱で最も可動性の少ない部分となっているが、機能単位で生じる小さな運動は重要である。とくに自律神経系の要素に影響を及ぼす力学的変化が生じるためある。

胸椎の椎間板は比較的薄い、椎間板と椎体の高さが5:1で脊柱のなかでは最も比率が低い。この比率が低いために、胸椎は柔軟性が少ない。

胸椎の特徴は、肋骨との関節を形成する肋椎関節及び肋横突関節の存在である。定型的な胸椎はT2~T8でその他は構造が異なる。T1の椎体はC7と類似しており、第一肋骨と完全な関節面がある。T9は下方に関節面がなかったり、左右両側にそれぞれ関節面が存在するケースがある。T11からは腰椎の椎体の特徴に類似し始め、刺突起は短く、ほぼ水平である。T12は椎体上に肋骨のと関節を作る完全な関節面を持つが、それ以外は腰椎に似ている。

胸椎の後湾は平均45°、許容範囲は20~50°でT6.7で頂点を作る。胸椎の湾曲の変化は、解剖学的な場合と姿勢的な場合がある。原発性の胸椎湾曲では、頚椎・腰椎についで二次的変化が生じやすい。頭位が前方になり、肩が丸く前方にでる姿勢症候群は、中部および下部僧帽筋の慢性的な伸張性の減弱と関連していることが多い。後背部及び頚部の筋に慢性的な緊張があると局所的筋膜症候群や頭痛を生じることがある。胸椎の湾曲が増大すると、胸郭臓器が押し込められ正常な生理機能を妨げることがある。

3つの主要運動のうち屈曲と伸展がもっとも制限をうける。回旋と側屈はほぼ同等の運動を示し、屈曲・伸展のほぼ2倍の運動をしめす。

屈曲及び伸展の全範囲は運動分節あたり6°で足方へ行くに従って柔軟性がます。下位の2椎は12°ある伸展は関節突起・刺突起の圧着のため屈曲より大きな制限を受ける。

側屈は平均で6°で下位の2椎では7~9°である胸椎全体ととうして側屈は回旋と連動する。これは頚椎と反対のパターンで上位腰椎でとくに明白である。

回旋は上位胸椎で8~9°である。回旋運動は中部胸椎で僅かに減少し下位の今日ついでは2°まで減少する。回旋運動も側屈運動と連動する。

胸椎は可動性は少ないが、肋骨と関節し胸郭を形成している。胸郭の柔軟性が体幹の可動性を制限し、胸椎の変位を作るため、臨床ではとくに重要な部位である。

 

 

 

腰椎の機能的・構造的特徴

 

脊柱における関節運動の最小単位は運動節であり、運動節は一対の椎骨と椎間板で構成され、前方部分は比較的強固に連結する椎骨と椎間板からなり、主として体重支持を行う。後方部分は滑膜関節である左右一対の椎間関節を含む椎間弓、棘突起、副突起、乳頭突起、肋骨突起からなり、筋腱の付着部を提供し主に椎骨の運動に関与する。腰椎の横突起は系統発生学的には肋骨と相同である。したがって腰椎の横突起は肋骨突起と呼ぶほうが正確で、ほかの横突起と相同ではない。上下の関節突起はほぼ垂直で矢状方向を向いている。上関節突起の関節面はやや凹面で下関節突起の関節面は凸面をしている。

腰椎分節の屈曲と伸展の範囲は、分節ごとに平均15°で、矢状面回旋と、各方向に平均2~3ミリの矢状面平行移動が組み合わされる。X線検査で、臨床的関節不安定の評価では4.5ミリが上限とされる。屈曲と伸展の回旋軸は、通常下位腰椎の椎間板中にあり、屈曲は前方に伸展は後方に移動する。

分節での側屈はどちら側にも片側側屈平均6°で、腰椎の側屈は反対側の回旋と連動する。例えば右へ側屈した場合左回旋をともなう。これは頚椎や上部胸椎でみれらるパターンと反対である。

よくみられる側屈に対する連動運動の異常をGriceとCassidyは4つのパターンに分類している。タイプ1は側屈が反対側への軸回旋に関連して起こるパターン。タイプ2は側屈と同側への軸回旋が複合したもの、原因としては最長筋、多裂筋の筋の不均等など。タイプ3は障害分節で側屈が生じないか、体幹屈曲と反対方向への側屈運動を伴う。原因は椎間板の機能異常、腰方形筋や横突間筋の短縮など。タイプ4は異常な分節回旋と側屈(側屈も回旋もしないなど)原因は大腰筋や多裂筋の不均衡、椎間板の機能異常など。そのほか、半前屈の座位など、腰椎の後湾が強い場合は側屈に対して同側に回旋する。例えば右側屈をすると右回旋する。

回旋は運動分節ごとに片側回旋平均2°で、矢状方向に向いている椎間関節は回旋可動を制限する。回旋と反対側への側屈が連動し腰椎の回旋能力の無さをカバーしている。

腰椎の回旋の運動軸は棘突起の基部にあり胸椎に比べて椎間板の移動が多く前断力(特にL4、L5)がかかるのでヘルニアになりやすい。

 

 

 

仙腸関節の構造と機能

 

仙腸関節は前面を薄い関節包(前仙腸靭帯)、後面を骨間仙腸靭帯・後仙腸靭帯で固定され、腸腰靭帯・仙結節靭帯・仙棘靭帯などで間接的に固定されている。

関節分類上では平面関節である。乳幼児期には平面関節であるが、立位などで荷重が剪断力として加わると関節面が不規則となり全体的に鞍関節に近い形状になる。高齢になると骨化し不動になるとされているが、触診上では可動性は存続し若年者よりも可動性が大きいものもある。関節の形状は他の関節よりも個体差が大きく、同じ人でも左右でかなりの差がある。仙骨の関節面は全体的には凹の形状となるが、第1仙椎では凹面、第2仙椎では凸面、第3仙椎では凹面と複雑である。

関節面はL字・C字にたとえられ、L字型は女性に多く上下に可動しやすく側湾症になりやすい。C字は男性に多く腰椎の前湾を強くする傾向がある。「AKA関節運動学アプローチ博田法」の著書の中では「L型」と「長楕円型」に分類され「L型」は仙骨が前傾位「長楕円型」は仙骨が垂直位に近づく特徴があるとされている。「L型」は前後方向の遊びが大きく、「長楕円型」は上下の遊びが大きい。カパンディは仙骨が水平位に近く可動性が大きいdynamic type仙骨が水平位に近く可動性が少ないstatic typeに分類している。関節の形状による機能の分類は書物によって主張が大きく異なるようである。

仙腸関節は頭側から荷重がかかると固定されるような構造で、最も固定力が強いのは腸骨に対して仙骨が起きた後屈位(腸骨は前屈、骨盤全体で見ると骨盤前傾)である。この位置は恥骨結合と後方の靭帯で固定してた骨盤輪へ仙骨の楔を深く打ち込んだ形になる。

仙腸関節の運動はふつう非常に僅かで3°~5°と考えられている。腸骨の運動が股関節や腰椎を見せかけ上の可動域を広げるような働きがあると考えられる。仙腸関節の動きや運動軸がどこにあるは現在も諸説ある。その中でもIlliの唱えたモデルはもっとも信頼性と説得力がある。一方の腸骨が後傾すると、仙骨は前傾する。反対側の仙腸関節は逆の運動(腸骨が前傾、仙骨は後傾する)。

歩行など連続した運動として捉えれば、仙骨が斜め、水平の8の字状に揺れる運動をしている。

 

仙腸関節は身体の要となる臨床的に重要な関節ですが、機能や構造は個人差が大きいので、実際の臨床では患者さんの健側・患側との比較が大切だと感じます。

 

 

 

仙骨の機能・構造・変位による身体に及ぼす影響

 

 

仙骨は5個の仙骨とその間の椎間板からなり、骨縁提が椎間板と骨性癒合を起こす。この部分の骨化は15,16歳ではじまり、仙骨相互の癒合は25歳~35歳までに下方から上方へ向かって進行する。

前面には前仙骨孔が4対あり、脊髄神経の前枝が通過する。S1-S3前枝とL4、L5前枝で仙骨神経叢を作る。仙骨神経叢は骨盤後壁を大坐骨孔に向かって斜めに下る。枝は皮枝と筋枝に分かれる。筋枝は外寛骨筋・大腿屈筋・下腿及び足のすべての筋・会陰筋を支配する。皮枝は臀部・大腿後面。下腿・足・会陰部の皮膚に分布する。後面には後仙骨孔が4対あり脊髄神経の後枝が通過する。S1-S3後枝外側枝は中臀神経として臀部の皮膚に分布する。

仙骨の運動は骨盤輪の幅を変えるので、産科学的に重要である。可動域は強靭な靭帯によって著しく制限されているが、個人差や性差が大きい。腸骨に対してうなずくような可動性があり、恥骨結合面と尾骨を結んだ骨盤下口の前後計が前屈位で広く、後屈位で狭くなる。腰仙角は30°が正常、前屈位(骨盤前傾)で角度が大きくなり腰椎の前湾を強め、後屈位(骨盤後傾)では角度が小さくなり後湾を強くする。

仙骨の変位に大きく影響を与える筋で、とくに重要と考えられる筋肉は梨状筋で、機能亢進を起こすと股関節の外旋変位だけではなく、仙骨が大腿骨へ引っ張られるため、骨盤後方変位を起こす。一側の機能亢進では後方変位・反対側回旋・他側への仙骨の側屈を起こす。他側の脊柱の側湾が強くなり、重心も他側へ移動する。

例えば左の梨状筋が短縮した場合、仙骨は右に側屈し、左側は前方、右側は後方に変位する、これは右後方下方仙骨のリスティングと一致するので仙骨の変位は梨状筋が関与すると思われる。

 

仙骨は脊柱の土台になる重要な骨であると思われるが、仙腸関節については多く書いてあるが、仙骨の機能異常に対して整形外科や理学療法の教科書にはほとんど記載がなく、あっても仙骨の奇形ぐらいであった。脊柱の機能異常を専門に扱うカイロプラクティックの教科書にもほとんど記載は無く、中川先生のカイロプラクティックノート2が一番詳しく記載してあった。

 

 

 

股関節の構造と機能

 

股関節は、寛骨外側下端に位置する寛骨臼と大腿骨頭からなる臼状関節(球関節)である。寛骨臼は前額面で30°下方へ傾斜し、水平面では30~40°前方へ傾斜する。

関節窩はとして月状面と関節唇が大腿骨頭の2/3を覆っていて、下方を寛骨臼横靭帯によって補完される。

 

大腿骨頚部に沿って、骨盤、股関節及び下肢に通る力線に対応する独特の骨梁パターンを展開している。大腿骨頚は骨幹に対して2つの角度を形成する。頚体角は成人で126°~128°である。年齢とともに角度は小さくなり新生児が150°、老人で120°、頚体角が減少するにつれ頚部骨折になりやすくなる。頚体角が大きいと外反股になり一般に内反膝を合併する。頚体角が小さいと内反股になり、外反膝になりやすい。

前捻角はヨーロッパ人の平均が12°であるが10°~40°と変動幅が大きい。前捻角によって股関節における大腿骨頭の屈曲から回旋への運動の変換が可能になる。前捻角が大きいと下肢は内旋し、小さいと外旋する。

 

股関節を作る靭帯は前方の腸骨大腿靭帯・恥骨大腿靭帯、後方の坐骨大腿靭帯で関節包を補強し股関節を支持している。これらの補強靭帯は股関節の伸展・外転・内旋位で緊張する線維走行となっているので、股関節痛がある場合はこの緊張を緩和するため屈曲・内転・外旋位となりやすい(本によっては10°~30°屈曲、10°~30°外転、10°外旋が最緩位とある)。

腸骨大腿靭帯は立位での骨盤後傾の制限をする。関節包内には大腿骨頭靭帯があるが股関節の支持靭帯ではない。

股関節の屈曲・伸展は大腿骨頚部と骨頭中心を結ぶ線を回転軸とし、大腿骨が屈曲するにつれ骨頭は後方へ軸回旋する、伸展時には逆。内外旋、内外転は関節の凸の法則にしたがい骨頭部は反対へ滑る。

 

股関節の運動には仙腸関節及び腰椎の運動が関与し、股関節を診る上で、千腸関節および腰椎の関与は非常に重要である。また、この逆で仙腸関節障害、腰部椎間関節の障害が股関節から発生している場合もあるので臨床上重要な関節である。

 

 

 

五十肩

五十肩はいわゆる「肩関節周囲炎」のことである。

日本において初めて五十肩の定義を試みたのは三木であると思われる。三木は①特殊な原因が認めにくく②肩関節を中心に痛みがある③肩関節の運動制限、とくに外転、外旋が侵される状態、と定義した。現在でも本質的に三木の定義が踏襲され“中年以降に加齢的退行変性を基盤として発生する疼痛性肩関節制動症”という定義が一般的である。

 

症状は肩の運動制限で、外転・内外旋の制限、肩甲上腕リズムの消失、疼痛、夜間痛、腕や背部に及ぶ放散痛、C5・C6頚神経支配領域に伴った疼痛、結節溝間の圧痛、小結節の圧痛などである。運動制限については通常の肩甲上腕リズムとはことなり、肩甲上腕関節の動きが制限されるため、肩甲上腕関節1:肩甲胸郭関節2と逆の割合で動く「逆肩甲上腕リズム」となる。

 

特徴は病名のとうり40・50歳代に多く、半年から2・3年で自然治癒することが多い。臨床的判断基準がないため報告者によって発生頻度は異なる。性別差はやや女性が多い、罹患側と利き手のとの関係は報告者によってまちまちであるが罹患率の差は無い。約12%が両側性罹患する。健常者の発症率が2~5%に対し、糖尿病患者では10~20%、インスリン依存形糖尿病患者では36%と発生率が高くなる。同一側が再罹患することはほとんどない。

 

発症のメカニズムは様々な説がある、肩峰下滑液包の癒着、肩関節の関節包の癒着、上腕二頭筋腱の癒着などさまざまであるが、はっきりと特定されていない。

 

多くの文献で、症状の経過を3つの期間に分類されており、急性期・慢性期・回復期にわけ、急性期には疼痛回避のための肢位の確保、慢性期・回復期には運動療法による可動域の回復が重要とされる。

 

臨床上、類似疾患との鑑別が特に大切で、鑑別が必要な疾患としてインピンジメント症候群、腱板損傷、石灰性腱板炎、腱板炎、腱板断裂、変形性肩関節症、頚椎症性根症、神経性筋萎縮症、心疾患などである。

 

とくに臨床で気をつけたいことは、急性期の対応で、初期はさほど強い症状がなくても、みるみる悪化することがある。施術によって悪化したと思われる患者がいるので、中年のインピンジメント症候群のような症状を呈す方には五十肩の可能性を説明しておくべきである。

 

 

体性-自律神経反射

 

数多く生体に存在する反射において、自律神経が関与しているものが有り①体性-体性反射②体性-内蔵反射③内蔵-体性反射④内蔵-内蔵反射がある。

カイロプラクティックでは当初から、脊髄神経根の圧迫を脊椎サブラクセーションに付随する神経学的障害として重視してきた。脊椎サブラクセーションは椎間孔内の神経を圧迫することで、その結果生じる神経根の機能障害が支配している体性組織や内蔵組織に機能障害をもたらすと考えられてきた。

しかし、関節サブラクセーションが神経根圧迫に関する初期の仮説は、生物学的に不可能と考えられ関節サブラクセーションがある椎間孔の端で脊髄神経が挟まれるとは考えにくい。

神経根圧迫説を裏付ける事実がないことからカイロプラクター達は新たな仮説を導き出した(インパルス依存説)。インパルス依存説では脊椎関節機能障害が侵害感覚と固有感覚の慢性的異変を引き起こしうる病変と解釈されている。

関節機能障害の一般的な随伴症状である分節筋スパズムは体性-体性反射の現れであり、頚椎関節の機能障害に伴う頚部の平衡異常は体性-内蔵反射の異常をあらわす。

一般的なマッサージや手技療法などの鎮痛の解釈としては、皮膚や筋肉の圧受容器を刺激し筋緊張の弛緩、リンパや血液循環を改善し発痛物質を流すこと目的にするが、痛みの改善以外にも便通や睡眠の改善など自律神経の変化を目的にマッサージ・手技療法が用いられる。

皮膚からの情報はそれぞれ決めれらた脊髄に入力され脳へ伝わる一方、同じ脊椎分節に入力している内蔵に影響を及ぼす。その結果各臓器の疼痛や異常に影響を与えることが出来ると考えられている。

特に慢性痛を訴える患者では不眠や便通異常など自律神経の不調を訴えることが多い、手技療法では痛みの以外の自律神経症状などにも有効なあり、疼痛患者のトータルケアとして期待出来る。

 

 

足関節捻挫

 

 

足関節の外傷は全スポーツ外傷の19-34%、そのうち足関節捻挫は75-85%を占める。

足関節捻挫の分類と発生頻度は

足関節捻挫のうち外側靭帯損傷(内反捻挫)は67-85%

内側靭帯損傷は3-14%

脛腓靭帯損傷は1-11%

 

足関節捻挫は高頻度で後遺症が残存する

6週目でスポーツ復帰選手の55%に後遺症を認め6ヶ月後の40%に後遺症を残す、後遺症の内容は疼痛の残存、滑膜炎、腱炎、関節可動域制限、腫脹、筋力低下、不安定性、giving way、足根管症候群などである。

足関節捻挫後の不安定性は2つに大別され、機械的不安定性(MI)と機能的不安定性である。機械的不安定性は「正常な生理的可動範囲を超えた関節可動域を有する関節」であり靭帯損傷に起因するものである。機能的不安定性は「機械的不安定性は検出されないが、足関節捻挫後に不安定感”giving way”が残存している状態」である

 

受傷機転は非接触型(着地、カッティング動作など)と接触型に分類されるが、足関節内反捻挫は非接触型が多い。

 

急性期の治療法は初回と再発で対応は異なり、靭帯の回復が見込める場合はシーネ、ギプスなど背屈位固定で厳重に固定するが、再発であればそこまで必要でないことがある。その他急性期はRICE処置を用いる

 

治療の計画は

①疼痛の解消

②不安定性の改善

-完全背屈位(骨性安定性の獲得)

-完全底屈位(底屈位での内返しの最小化)

③機能回復

-アーチ機能に関与する内在筋の機能改善

-足関節安定性に関与する下腿筋機能改善

④再発予防

-受傷機転となりやすい動作の再学習

 

の順に治療計画を立てる。

 

足関節捻挫後に高頻度に認められる骨配列の不良は背屈位での外反である

背屈時の距骨内側部の後方すべりの不良により、背屈位での船状骨結節と内果の距離が長くなる。背屈位内転誘導にて骨性の支持がなく下腿を外旋すると距腿関節が安定しないので拇指球が挙上してしまう。

 

足関節捻挫は整骨院の臨床においてもよく出くわす外傷である。選手が痛みを我慢できてしまう疾患なので指導者や施術者も症状を軽く見てしまう傾向がある。そのため高頻度に後遺症が残る。簡単な外傷と思い込まずに、見立て上1度の損傷であれば2度の処置、2度の損傷であれば3度の処置をして、慎重に治療を勧めていくべきである

 

足関節捻挫慢性期の治療方針

 

 

 

足関節捻挫は受傷頻度が極めて高く、後遺症になりやすい損傷であるため、臨床でもよく見られる。急性期にはRICE処置が重要で、特に早すぎる固定具の除去・スポーツ活動の復帰が原因で高確率で後遺症を残す。

当院で急性の足関節捻挫で来院された場合、1度の損傷であっても2度損傷の処置を行う、非伸縮性のホワイトテープで固定し、毎日テーピングの交換に来ていただく、その際腫脹の引き方や疼痛を確認する。2度の損傷の場合は整形外科の受診を促し、ギプスやシーネで固定する。大げさな処置ではあるが後遺症の可能性を患者さんに説明し理解していただいたうえで治療を進める。

腫脹が引いた、回復期や慢性症状に対しては、ROM制限の回復・下肢アライメントの調整・筋力トレーニング・スポーツ動作の再学習の順で治療を進める。

ROM制限は固定期間中に起こるであろう軟部組織の癒着、組織間の滑走不全の改善を主に行う。その際可動性の亢進も確認しておく。下肢のアライメントは背屈時の外反、足部の回外位、下腿の外旋・外方へのズレ・下肢長差などを調整する。筋力回復ではまず確認として、全力でつま先立ちになった時に小指側荷重になっていないかをチェック、小指側荷重の場合は腓骨筋の筋力低下と判断しトレーニングをおこなう。

腓骨筋のトレーニングは非荷重でチューブの背屈・外反のトレーニングが一般的だが、アライメントの異常を助長してしまう可能性と、CKCでの動作と荷重位でのスポーツ動作とかけ離れているため、ほぼ無効に感じるのでやらない。

リアラインバランスシューズというリハビリツールを使って荷重位での筋力回復からスポーツ動作の再学習へ段階を踏んで治療をすすめる。

その他、筋力アップと血流の促進を目的として加圧トレーニングを行う。

スポーツへの復帰の判断はとても難しい。院外での指導はできないので、選手には痛みが出る動作を避けるように指導する。痛みがあっても我慢できてしまい、治癒が遍遠してしまうことをしっかり理解していただく。ただ選手は無理をしてしまうのも術者も理解し、選手の特性をみて復帰のタイミングを考えるようにしている。

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