仙腸関節の構造と機能



仙腸関節は前面を薄い関節包(前仙腸靭帯)、後面を骨間仙腸靭帯・後仙腸靭帯で固定され、腸腰靭帯・仙結節靭帯・仙棘靭帯などで間接的に固定されている。

関節分類上では平面関節である。乳幼児期には平面関節であるが、立位などで荷重が剪断力として加わると関節面が不規則となり全体的に鞍関節に近い形状になる。高齢になると骨化し不動になるとされているが、触診上では可動性は存続し若年者よりも可動性が大きいものもある。関節の形状は他の関節よりも個体差が大きく、同じ人でも左右でかなりの差がある。仙骨の関節面は全体的には凹の形状となるが、第1仙椎では凹面、第2仙椎では凸面、第3仙椎では凹面と複雑である。

関節面はL字・C字にたとえられ、L字型は女性に多く上下に可動しやすく側湾症になりやすい。C字は男性に多く腰椎の前湾を強くする傾向がある。「AKA関節運動学アプローチ博田法」の著書の中では「L型」と「長楕円型」に分類され「L型」は仙骨が前傾位「長楕円型」は仙骨が垂直位に近づく特徴があるとされている。「L型」は前後方向の遊びが大きく、「長楕円型」は上下の遊びが大きい。カパンディは仙骨が水平位に近く可動性が大きいdynamic type仙骨が水平位に近く可動性が少ないstatic typeに分類している。関節の形状による機能の分類は書物によって主張が大きく異なるようである。

仙腸関節は頭側から荷重がかかると固定されるような構造で、最も固定力が強いのは腸骨に対して仙骨が起きた後屈位(腸骨は前屈、骨盤全体で見ると骨盤前傾)である。この位置は恥骨結合と後方の靭帯で固定してた骨盤輪へ仙骨の楔を深く打ち込んだ形になる。

仙腸関節の運動はふつう非常に僅かで3°~5°と考えられている。腸骨の運動が股関節や腰椎を見せかけ上の可動域を広げるような働きがあると考えられる。仙腸関節の動きや運動軸がどこにあるは現在も諸説ある。その中でもIlliの唱えたモデルはもっとも信頼性と説得力がある。一方の腸骨が後傾すると、仙骨は前傾する。反対側の仙腸関節は逆の運動(腸骨が前傾、仙骨は後傾する)。
歩行など連続した運動として捉えれば、仙骨が斜め、水平の8の字状に揺れる運動をしている。
 
仙腸関節は身体の要となる臨床的に重要な関節ですが、機能や構造は個人差が大きいので、実際の臨床では患者さんの健側・患側との比較が大切だと感じます。