足関節捻挫

足関節の外傷は全スポーツ外傷の19-34%、そのうち足関節捻挫は75-85%を占める。
足関節捻挫の分類と発生頻度は
足関節捻挫のうち外側靭帯損傷(内反捻挫)は67-85%
内側靭帯損傷は3-14%
脛腓靭帯損傷は1-11%

足関節捻挫は高頻度で後遺症が残存する
6週目でスポーツ復帰選手の55%に後遺症を認め6ヶ月後の40%に後遺症を残す、後遺症の内容は疼痛の残存、滑膜炎、腱炎、関節可動域制限、腫脹、筋力低下、不安定性、giving way、足根管症候群などである。
足関節捻挫後の不安定性は2つに大別され、機械的不安定性(MI)と機能的不安定性である。機械的不安定性は「正常な生理的可動範囲を超えた関節可動域を有する関節」であり靭帯損傷に起因するものである。機能的不安定性は「機械的不安定性は検出されないが、足関節捻挫後に不安定感”giving way”が残存している状態」である

受傷機転は非接触型(着地、カッティング動作など)と接触型に分類されるが、足関節内反捻挫は非接触型が多い。

急性期の治療法は初回と再発で対応は異なり、靭帯の回復が見込める場合はシーネ、ギプスなど背屈位固定で厳重に固定するが、再発であればそこまで必要でないことがある。その他急性期はRICE処置を用いる

治療の計画は
①疼痛の解消
②不安定性の改善

  • 完全背屈位(骨性安定性の獲得)
  • 完全底屈位(底屈位での内返しの最小化)
    ③機能回復
  • アーチ機能に関与する内在筋の機能改善
  • 足関節安定性に関与する下腿筋機能改善
    ④再発予防
  • 受傷機転となりやすい動作の再学習

の順に治療計画を立てる。

足関節捻挫後に高頻度に認められる骨配列の不良は背屈位での外反である
背屈時の距骨内側部の後方すべりの不良により、背屈位での船状骨結節と内果の距離が長くなる。背屈位内転誘導にて骨性の支持がなく下腿を外旋すると距腿関節が安定しないので拇指球が挙上してしまう。

足関節捻挫は整骨院の臨床においてもよく出くわす外傷である。選手が痛みを我慢できてしまう疾患なので指導者や施術者も症状を軽く見てしまう傾向がある。そのため高頻度に後遺症が残る。簡単な外傷と思い込まずに、見立て上1度の損傷であれば2度の処置、2度の損傷であれば3度の処置をして、慎重に治療を勧めていくべきである

足関節捻挫は受傷頻度が極めて高く、後遺症になりやすい損傷であるため、臨床でもよく見られる。急性期にはRICE処置が重要で、特に早すぎる固定具の除去・スポーツ活動の復帰が原因で高確率で後遺症を残す。
当院で急性の足関節捻挫で来院された場合、1度の損傷であっても2度損傷の処置を行う、非伸縮性のホワイトテープで固定し、毎日テーピングの交換に来ていただく、その際腫脹の引き方や疼痛を確認する。2度の損傷の場合は整形外科の受診を促し、ギプスやシーネで固定する。大げさな処置ではあるが後遺症の可能性を患者さんに説明し理解していただいたうえで治療を進める。
腫脹が引いた、回復期や慢性症状に対しては、ROM制限の回復・下肢アライメントの調整・筋力トレーニング・スポーツ動作の再学習の順で治療を進める。
ROM制限は固定期間中に起こるであろう軟部組織の癒着、組織間の滑走不全の改善を主に行う。その際可動性の亢進も確認しておく。下肢のアライメントは背屈時の外反、足部の回外位、下腿の外旋・外方へのズレ・下肢長差などを調整する。筋力回復ではまず確認として、全力でつま先立ちになった時に小指側荷重になっていないかをチェック、小指側荷重の場合は腓骨筋の筋力低下と判断しトレーニングをおこなう。
腓骨筋のトレーニングは非荷重でチューブの背屈・外反のトレーニングが一般的だが、アライメントの異常を助長してしまう可能性と、CKCでの動作と荷重位でのスポーツ動作とかけ離れているため、ほぼ無効に感じるのでやらない。
リアラインバランスシューズというリハビリツールを使って荷重位での筋力回復からスポーツ動作の再学習へ段階を踏んで治療をすすめる。
その他、筋力アップと血流の促進を目的として加圧トレーニングを行う。
スポーツへの復帰の判断はとても難しい。院外での指導はできないので、選手には痛みが出る動作を避けるように指導する。痛みがあっても我慢できてしまい、治癒が遍遠してしまうことをしっかり理解していただく。ただ選手は無理をしてしまうのも術者も理解し、選手の特性をみて復帰のタイミングを考えるようにしている。